💛行政書士による島根県及び県内西部市町村への行政手続に関するご相談


『お役所に相談しても、たらいまわしされて、なかなか満足のいく説明が受けられない。』

こんなご不満をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

正直、お役所に相談しても、お役所にとって不都合な質問には、できれば答えたくないのは当たり前です。

行政書士は、国民の権利利益の保護を第一とする”士業”ですので、お役所の都合にかかわらず、適正な対応ができます。


最近、多くのお役所で問題となっている下記の点を中心に対応しています。

取られ過ぎ「固定資産税」を取り戻そう!


Let's know Japan from abroad


不服申立てをしよう。



3年間の過徴収は、39万件!

マイホームを持った人は、ほぼ一生涯、固定資産税と付き合わなければなりません。

ほとんどの人は、固定資産税は、市役所が決めた税金なのだから、"間違いはないだろう"と思っているはずです。
 しかし、固定資産税を本来より多く取られる事例が全国で続出しています。

 

現に、島根県内でも津和野町で85人(2018.9.18毎日新聞)が過去10年間で過徴収約340万円をはじめ、美郷町でも発覚しています。

それもそのはずです。

 

総務省の調査でも、09年~11年度の3年間で97%の市町村で39万件(19万5183人)以上の課税ミスが発覚しているのですから。

うち7割は減額修正、つまり「税金の取り過ぎ」です。

過徴収金は、国家賠償請求できます!

その返還請求期間は、なんと過去20年間です。

固定資産税の課税誤り(過徴収金)の返還期間―最高裁判決

平成4年2月24日さいたま地裁判決により、国家賠償法による賠償が認められたことから、ほとんどの市町村で「過徴収金返還要綱」が定められました。

 

では、過去何年分が返還請求できるのかについて判示したのが、最高裁(平成22年6月3日)判決です。

 

一定の要件の下では、地方税法上の審査請求や取消訴訟を経ることなく、国家賠償請求を行うことができ、固定資産税の過徴収金の返還期間は最高20年と判示しています。

 

この判決において「固定資産税の評価・課税誤りによる税額について国家賠償の請求を認める」との判断がなされました。
この判決は名古屋高裁への差戻し判決ではありますが、事実上の最高裁の 損害賠償請求容認判決と受け止められています。

 

■事案の概要・・・冷凍倉庫の課税誤り

名古屋市のある冷蔵会社が、名古屋市長の冷凍倉庫に対する誤った評価・課税に対して、不服申立手続を経ることなく国家賠償法により国家賠償を請求した事案です。

この請求に対して、第1審(名古屋地裁)、第2審(名古屋高裁)ともに「国家賠償法に基づいて固定資産税等の過納金相当額を損害とする損害賠償請求を許容することは…妥当でない。」との判断のもと棄却されました。

しかし、冷蔵会社が最高裁に上告したところ、最高裁は国家賠償法による損害請求を事実上認めて、名古屋高裁への差戻し判決がなされたというものです。

 

■最高裁判決の重要部分

「公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは、これによって損害を被った当該納税者は、地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく、国家賠償請求を行い得るものと解すべきである。」

「記録によれば、本件倉庫の設計図に「冷蔵室(-30℃)」との記載があることや本件倉庫の外観からもクーリングタワー等の特徴的な設備の存在が容易に確認し得ることがうかがわれ、これらの事情に照らすと、原判決が説示するような理由だけでは、本件倉庫を一般用の倉庫等として評価してその価格を決定したことについて名古屋市長に過失が認められないということもできない。」

 

この判決を契機に、全国的に多くの市町村で冷凍倉庫に対する同様の評価・課税誤りが表沙汰になりました。

 

市町村ごとに「冷凍倉庫」の定義が異なっていたことで、評価・課税誤りとなったのです。

 

冷凍倉庫は「塩素その他の著しい腐食性を有する液体・気体の影響を受ける」ことから、一般倉庫に比べて経年減点補正率(年数の経過に応じて生じる減価)が厳しく、評価額はおおよそ半額相当です。

 

しかし、「冷凍倉庫」の定義が不明確であったことから、一般倉庫並みの評価・課税を行っていたのです。

 

『還付金返還の時効は20年』

この最高裁判決後は行政実務でも本判決を尊重することとなっています。

 

これは、民法724条により「不法行為による損害賠償の請求権は、不法行為の時から20年を経過したとき時効によって消滅する」との規定に基づき、過徴収金(還付金)返還の時効は20年とされました。

国家賠償が認められるためには・・・

国家賠償法1条に「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」とあります。

 

このことは、

「職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことの無いような場合には、国家賠償が認められるような違法になる」と判断される場合に、認められるということになります。

  

このように、課税当局による課税誤りがあった(と思われる)ときは、最長20年間遡って損害賠償請求することができます。

 

但し、ポイントは、あくまでも「通常尽くすべき注意義務を尽くしているかどうか」ということです。

単に、その評価・課税が間違っていたというような程度では、取消訴訟で取消すべき処分にとどまるでしょう。

 


還付を受けられる期間の目安

固定資産税の評価・課税誤りによって納め過ぎた場合、その過徴収金(還付金)は何年遡って還してもらえるかということになろうかと思います。

目安としては、以下の3つが考えられます。

①地方税法の規定による原則的手続による期間(5年)

②地方税法417条と「過徴収金返還要綱」による期間(5年又は10年(20年))

③最高裁判決による国家賠償による期間(20年)

 

➀地方税法による原則的手続期間(5年)

地方税法では、徴収し過ぎた税金(還付金)の請求権は5年で消滅時効になる、つまり5年遡って還してもらえると定められています。

<地方税法18条の3(還付金の消滅時効)>

「地方団体の徴収金の過誤納により生ずる地方団体に対する請求権及びこの法律の規定による還付金に係る地方団体に対する請求権は、その請求をすることができる日から5年を経過したときは、時効により消滅する。」と規定されているからです。

 

しかし、課税誤りが発見されるのは、納税者等からの指摘によることがほとんどですから、固定資産税の納め過ぎの原因のほとんどは、課税当局の誤り(課税ミス)によるもののはずです。

 

②裁判所による取消訴訟(5年)

課税処分に不服がある場合は、まず価格の不服について固定資産評価審査委員会へ審査の申出を行い、その決定に不服がある場合に初めて取消訴訟を提起できることになります。

これが地方税法上の原則的な手続で、その流れは次のとおりです。

STEP1 固定資産税の納税者は、価格に不服がある場合には、納税通知書の交付を受けた日後60日までの間に文書をもって、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。(地方税法432条1項)

STEP2 固定資産税の納税者は、STEP1の決定に不服があるときは、その取消しの訴えを提起することができる。(地方税法434条1項)

STEP3 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から6ヶ月を経過したときは、提起することができない。(行政事件訴訟法14条1項)

つまり、地方税法による原則的な手続は、裁判所に訴える前に、まず固定資産評価審査委員会の決定を経る必要があるとされ、さらに6ヶ月と比較的短い出訴期間があることなど、手続には一定の制限があります。

課税処分のような法律関係は早期に安定させるべきとの考慮から、このような限定的な手続が規定されています。

 

③「重大な錯誤」による価格等の修正(5年・10年・20年)

地方税法の原則的手続は上記のとおりですが、地方税法では特例規定とも言うべき規定があります。

 

それが「重大な錯誤」がある場合の「固定資産の価格等のすべてを登録した旨の公示の日以後における価格等の決定又は修正」が認められるという規定です。

 

納税通知書が発送された後60日間の不服申立期間が経過した後は不服申立が認められませんが、その価格等について問題があり得ることから、下記の規定が地方税法417条1項があります。

[地方税法417条1項]

市町村長は、…登録された価格等に重大な錯誤があることを発見した場合においては、直ちに…決定された価格等を修正しなければならない。」

 

ここにいう「重大な錯誤」とは何かが重要です。

・虚偽の申告又は申請による誤算

・固定資産課税台帳に登録する際の誤記

・価格等を決定する際の計算単位のとり違い

・評価調書における課税客体の明瞭な誤記又はその認定の誤り等

客観的にみて価格等自体の決定に重大な誤りがあると認められるような錯誤を言います。

従って、軽微な誤り程度のものは含まれません

 

要するに、このような重大な錯誤があれば、原則的な手続(納税者からの審査の申出等)を待つまでもなく、市町村長は直ちに修正しなくてはならない義務を負っているのです。

 

そして納税者は自分の資産であれば、縦覧期間(納税通知書発送後から第1期納期限まで)に限らず、通年いつでも閲覧することができます。

又、その市町村の窓口で、課税内容の説明を求めることも可能です。

ここで価格等が修正され、過徴収金がある場合、「重大な錯誤」であれば、10年や20年もあり得ることになります。

 

■要綱行政による返還(10年・20年)

約7割程度の市町村は、過徴収金返還に関する『要綱』を制定し、これに基づいて運用しているようです。

 

要綱は、行政組織内部のルールであり、拘束力はありません。

そのため、重大な課税誤りがあっても、20年ではなく、固定資産税の課税台帳の保存期間である10年を期限にして過徴収金を返還するとしていたり、領収書等により確認できる場合に限って、20年を限度に返還するといったようにお役所に都合よく規定しているのがほとんです。

 

本来20年遡って返還しなければならないにもかかわらず、国民が知らないことに付け込んで(?)、半分の10年分しか返還しないということです。

その多くは、”予算不足”が原因と思われますが、それを理由にすることは許されません。


地方税法で「還付金の消滅時効は5年」とされている!と言われたら・・・

地方税法で「還付金の消滅時効は5年」とされているにもかかわらず、それを超える10年、20年は、何を根拠にしているのかということになります。

 

前述した平成4年2月24日の浦和(現さいたま)地裁の判決において、「固定資産税の住宅用地の特例は申告が必要か」という点について、「住宅用地は市町村条例によって申告が義務づけられているといっても、固定資産税はそもそも賦課課税であるため、課税当局は申告が無くても減額特例を適用する必要がある」とし、納税者に地方税法ではなく国家賠償法による国家賠償請求を認めたという事案です。

 

地方税法より国家賠償法の方が優先されたのです。

 

これを受けて、全国の多くの市町村は独自に過徴収金返還手続を規定する「要綱」を作った経緯があります。

 

しかし、「要綱」は単に、拘束力のない行政機関内部のルールに過ぎず、拘束力のある「条例」や「規則」には成り得ないのです。